この記事は、丹波・丹後の無料情報紙「TOWN TOWN」2009年2月21日発行号に掲載された記事「日本海に遊ぶ」の全文です。非常に分かりやすく、タオルにも関係する記事だったので、上野正博様にお願いして引用、掲載の許可をいただきました。ありがとうございます。あちこちに引用させて頂くにあたり、全文があった方がわかりやすいと思い記載させていただいております。許可をいただきましたTOWN TOWN様にも併せて御礼申し上げます。
個人的には、えっと思うキツイ部分もあるかと思います。というのは今の経済環境から考えるに、一般的な生活を考えると、避けて通れない部分も少なからずあるからです。ただ事実は事実で、むしろ知らずに、今の時代だから環境に優しいものが出来ていて当然だろうとする考えは危険で、いろんな視点から見れる考えを持つことが大切だと思います/藤田。
手抜き家事はエコ/京都大学水産実験所職員 上野正博
丹波・丹後の冬、朝は濃い霧の中、昼はいつ襲ってくるかもしれない時雨空。洗濯物はどうしても部屋干しになりがちですね。でも、最近の洗剤って部屋干しをしてもあまり臭わないし、お日様に当てなくてもふんわり真っ白。快適なんですけどなんか変。
部屋干しの洗濯物が臭うのは、付着している微生物が暖かな部屋の中で生乾きの水分を栄養にして増えてしまうからですね。臭わないってことは微生物が死んじゃうってことですから、すすぎ終わった洗濯物に殺菌剤が残っているってことになります。微生物だって人間だって細胞の作りは同じですから、こんな薬物が人間の肌に良いはずはありません。
部屋干しでもふんわりするのは、陽イオン界面活性剤が衣類の繊維を覆っているからです。普通の石けんや洗剤は陰イオン界面活性剤で、こちらは繊維の表面とはじきあうことで汚れを落とします。 陽イオンの方は繊維の表面とぴったりとくっついて薄い膜を作るので、この膜が繊維の絡みをなくしてふんわりさせるわけです。でも、陽イオン界面活性剤って別名を逆性石けんという強力な消毒薬なんですね。
さらにさらに、真っ白な洗い上がりも変。下着に使われる綿は生成りだと黄色みを帯びています。それが真っ白なのは漂白を繰り返した上に蛍光増白剤と呼ばれる青白い染料で染めてあるからです。洗いざらしの下着がだんだん黄ばんでくるのは、この染料が落ちてくることが最大の原因。で、白さが自慢の洗剤にはこの染料含まれていて、もう一度染め直しているのです。染料も化学物質ですから肌に良いはずがありません。
なんでこんなことを書きつらねてるかというと、いま日本の川と海を汚している原因のおよそ2、3割くらいは洗濯とお風呂だからです。日々の暮らしで私達が排出する汚れっていうと、まずオシッコやウンコが思い浮かびます。でも、日本では洗濯とお風呂からの排出の方がずっと多いのです。おまけに洗剤やシャンプー・リンスなどは化学物質の固まり、高濃度だと魚が即死してしまうし、低濃度でも奇形がでる危険なモノなのです。
私が子供だった半世紀前、夏場でも毎日行水で汗を流すだけ、冬場はお風呂も数日に一度が普通でした。せめて冬場のお風呂は一日おき、そして洗濯はなるべく手抜き、まとめて洗剤の量を減らしてください。ハイブリット車より太陽光発電よりそれが一番簡単なエコです。お金も節約できるしね。
綺麗な水あってこそ、支えられる我々の生活。感謝したいと思います。