タオル上での発色は、タオル生地由来の特性と、顔料・染料由来の特性に、強く影響を受けます。使うことのできない色や、扱いの難しい色、配色の難しい色もあります。念のためご理解いただければと思います。とはいえ一般的な色であれば綺麗に出ますし、具体例を製作事例集で確認することもできます。
タオル上での色
紙に印刷されたものに一生懸命色を合わせても、環境によりそのように見えない事も起こりえます。すべての織物に共通ですが、綿糸そのものの撚り方(太さ、加工)によっても色の発色が異なってきます。タオル上での顔料色は希望の色より多少白っぽく見える場合もあります。染料色は加工工程に色ブレの要素があります。基本的な指針としては、色合わせを求めるなら顔料、風合いを追求するなら染料となります。
- タオルの生地その物にある蛍光が光に当って白っぽく見える
- タオルの吸水の元であるケバにより白っぽく見える
- 濃色の場合は色濃度を上げる限度がある
- 過度に色濃度を上げると、色落ちの原因になりやすい(顔料)
- 逆に薄すぎる色濃度は、ロットによる色ブレの原因になりやすい(顔料、染料共通)
タオル素材は、不安定を生み出しやすい素材です。パイル素材(ループ素材)だと厚みがあり、ループがあるので厚さによって色が沈みがちになったり濃くなったりします。シャーリング素材の場合、毛の向きによって(光の当たり方)によっても見え方が異なってきます。
ジャガード織り(色糸を使って柄を織る方法)に関しては、現在使える色を定番色から選んでいただいています。
使うことのできない色
タオルプリントの特性から、金、銀、白(白色顔料)の使用はできません。白は基本的に生地色を使用して抜きとして表現します。タオルに白色プリントができない理由についてはこちらもご覧ください。金は近似色(多くは黄土色系統で代用)、シルバー(銀)はグレーによって表現されます。
指示色の再現性について
色の指定はDIC、DIC日本の伝統色、PANTONE(コート、アンコートのみ)にて受け付けております(詳しくはDICおよびPANTONEの色の再現についてをご覧ください)。再現性が難しいのは、鮮やかな黒、鮮やかな赤、薄すぎる色、濃いすぎる色、紺の紫系統などの微妙な色合いです。一番問題になりやすいのは黒です。
いずれにしても紙ベースの物に、タオル生地で合わせるのですから難しくなります。しかし、極力色を合わせる努力をしておりますが、現在は色指示を参照した、こちらから送付する色チップで確認していただく方法を取っております(詳しくは色の打ち合わせについてをご覧ください)。
黒に関して言うと、顔料でも多くが解決されつつありますが、パッと輝くような色と柔らかい風合いの黒は顔料では難しく、染料を薦めることもあります。詳しくは黒色や濃色を使う場合をご覧ください。
また非常に細かいことですが特に厳密に見られる方にお伝えしなければならない事として、同じ条件で作られた物でも、乾燥の熱の伝わり具合の違いにより、同ロットでも微妙に色が違うことがあります。あまりこだわりすぎると、なかなか製品にならない事もあります。
グレー色の表現について
グレー色の濃度(いわゆるグレートーン)またはグレー系の色は、指示通りの仕上がりににくい難しい色と考えてください。グレーの面積が多い、もしくはデザインコンセプトの中心にある場合、顔料プリント系での製作となります。
染料プリントにおけるグレー表現は製作工程の関係上、ムラになりやすく、同じ製作ロット内でも色が異なる場合もあります。原因としては分かっているのですが、条件肢が多岐に渡り、時期によっても異なる場合がある、難しい色がグレー系の色になります。
隣合わせる色の注意
下図の赤と緑がわずかにでも触れあうと、黒っぽい色になるような問題が発生する場合もあります。特に赤と緑の隣合わせは難しく、わずかにでも触れると、触れて重なった部分が黒く見える場合があります。
「黄色と青」の組み合わせに注意が必要です。大ざっぱなデザインの場合問題ありませんが、細かいデザインで「黄色と青」を隣合わせると、触れた部分は緑になります。同様に黄色いカラータオルに青をプリントしても緑になります。綺麗な緑色だとこの方法もアイデアによっては活用できますが、大半くすんだ緑になります。黄色バック青の組み合わせは製作事例も多いので参考にしてみてください。