弊社でのシルクスクリーン型を使ったプリントに関しての説明です。プリントの範囲について、「枠内プリント」と「全面ベタプリント」という表現に分けています。このプリントタイプによって、プリントの範囲が変わり、主に単価なども変わってきます。シルクスクリーンのプリントでは主に顔料プリントと染料プリントという種類があり、出来るデザイン、得手不得手も微妙に変わってきます。こちらのページも参照してみてください。→顔料・染料プリントについて
枠内プリント
プリント範囲の枠内でデザインを表現します。この画像の例では、青いラインがプリント範囲で、その内側だけにプリントします。
タオルは白の状態が一番吸水性が良く、プリントを載せた部分はそうでない部分に比べて若干劣ってきます。細かな違いではありますが、吸水性を特に重視する場合は枠内プリントで考えるとよいでしょう。もちろん価格面もリーズナブルになります。
※青枠は説明ガイドラインです。
全面ベタプリント
デザイン範囲の枠を超えて、全面に色をかける表現をします。この画像の例では、デザイン範囲は青いラインの内側までですが、色を付ける範囲はタオルの全面に及びます。
デザイン範囲は、デザインをこの中に収めてくださいという範囲です。一部範囲をはみ出したデザインをすることも可能ですが、文字などモチーフは範囲内に収めていただく必要があります。タオルは不定形な製品なので誤差が生じやすいため、この範囲を設けています。
裁ち切りのデザイン希望の場合は以下を参照してください。
ベタプリントにはいろいろな方法がありますが、簡単に述べると素材に表面全体を染め上げた状態の事を差します。上図は、シャーリングフェイスタオルに顔料ベタプリントを行った写真です。
ベタプリントは基本的にはシャーリング生地に対してシャーリング面に行います。そのため、表面のみに色が付き、裏面は白生地のままとなります。カラータオルに対してのベタプリントは配色の難しさから、ほとんど行った事がありません。これはタオル素材特有の色の上に色を載せずに柄表現を行うという素材の特性上の問題から行われる方法となります(ウェットプリント)。
柄が生地端まではみ出したデザイン(裁ち切りデザイン)
デザインを大胆に見せるために、使われるデザイン手法として、裁ち切りのデザインがあります。裁ち切りデザインとはタオルからデザインをはみ出させて勢いを付ける構造の事を言います。
顔料プリントにおいては、単色(1色)によるデザインの場合だけは製作可能です(生地端に掛かる色が1色の場合)。
生地端に掛かるデザインが2色以上の場合は染料プリントでの対応となります。ただしデザインの配色構造や柄の構造によっては変更が必要な場合もありますので、その都度相談と提案をさせていただきます。
尚、デザイン上、たとえ柄の一部のみ生地端に色が掛かるレイアウトでも、すべてベタプリントの扱いになります。
生地端の滲みに注意
緑のラインと4点の写真はタオル表面から見た生地端を示しています。このように生地端にデザインが掛かる場合は、その部分で大なり小なり色の滲みが発生します。
こういったデザインの配色や構造は、デザイン上の工夫次第で問題が無いように見せられたりもします。例えば、淡い色なら視覚的に気にならないなども一つの方法です。
色素材の特徴上、生地端での滲みは顔料の方が大きく、染料の方が少量になりやすいです。お勧めとしては、価格も抑えつつ背景生地端に掛かるデザインが白抜きでも表現可能な場合、顔料プリントで十分。2色になるなら染料プリント、その中でも少量の製作しか考えないならフルカラー素材の検討も良いかと思われます。
上の写真は全面プリント(顔料ベタプリント)の際のタオルの長い辺の裏側を示しています。染料の方が少量で起こりにくくなります。
枠内のプリントと違い、全面ベタプリントはタオルに対して、大量の色液を掛けて、刷毛(ハケ)にて刷る作業になります。その為基本的にタオル裏面生地端への色の回り込みも生じます。また、捺染台から乾燥機に入れる際も、人間の手による作業です。ベタプリントを行うと、タオルの厚みの関係で、プリント後、四方に色の溜まりが出来ます。これが生地裏への回り込み、撥ね(ハネ)の原因となります。生地厚があるほどなりやすい現象です。
また。縫製とプリントの順序の理由もあります。長い辺を縫製したタオルにプリント作業を行います。(タオルの短い辺はプリント後に縫製します。) 長い辺をあらかじめ縫製している理由としては、タオルを晒す上で強度や歪みの関係からとなります。
多くの場合デザイン表面にまず注意をはらって作業しており、出来る限り綺麗な仕上がりになるよう努めていますが、多少の事はご容赦願います。